卒業式の祈り
式で泣き出す生徒は珍しくないのかもしれないけれど、私の泣き崩れ方はひどくて離れた席にいたユキナが心配して傍に来てくれていた。

「サラ、大丈夫、大丈夫だから。ちょっとここから、でよっか」

「うん」

ユキナに肩を抱かれ支えられるようにして、席を立った。

生徒達の間を歩いていくと、クラスメイト達が心配そうに気遣うように声をかけてくれる。

私を見て、泣き出してしまう生徒も数名いた。

「ごめんね、ユキナ、ごめん」

「いいよ。サラ、泣いていいからね」

こんな風に式から退場しないと行けなくなってしまって、申し訳ない気持ちで謝った。

ユキナの顔も、涙で濡れている。
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