卒業式の祈り
姉は、目を見開いて興奮気味に口を開く。

「三井くんの意識がさっき戻ったって。サラを呼んでるって。早く、早く行ってあげよう」

三井くんが?意識が戻ったの?

私はそれを聞いた途端、もう何も考えず走りだしていた。

だけど、何度も足がもつれて転びそうになる。

「サラ、私も一緒に病院へいくよ」

後ろから追いかけてきた姉に支えられながら、またよろめきながら走ろうとした。

夢みたいだ、こんなの、夢みたいだ。
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