卒業式の祈り


外に出たら、風が冷たくて薄着で出てきてしまったことを後悔した。

3月だけどまだ肌寒いので、私は鞄から紺色のマフラーを取り出した。

このマフラーは、三井くんに貰った私の宝物なんだ。

プレゼントとかそんな甘いものじゃなくて、単に彼が自分のマフラーを貸してくれて、私が気に入ったので、 そのまま返さなくてもいいよと言われたんだよね。

だってこのマフラー、とてもいい生地で柔らくて暖かいんだもん。

私に照れくさそうにマフラーを巻いてくれた三井くんの顔は、赤くなっていたっけ。
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