卒業式の祈り
病室
三井くんが入院している病院へは姉と一緒にタクシーで駆けつけた。

体調が万全じゃない私を、姉が心配して付き添ってくれた。

彼が入院している病院の個室へ、近づいていくにつれドキドキと胸の鼓動が早くなった。

三井くん、三井くん

心の中で、何度も彼の名前を呼んでいた。

3階にある彼の病室をノックすると、彼のお母さんの声がした。

「私です、サラです」

「サラちゃん?」

嬉しそうに、彼のお母さんが迎えてくれる。

三井くんによく似た二重瞼で涼しい目元のかなり美人で、品のいいお母さんだ。
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