卒業式の祈り
喉がヒューヒュー鳴るばかりで声にならない。

彼がもどかしげに、酸素マスクをはずそうとするのでその手を握りしめた。

「大丈夫だよ、三井くん。うん、わかるよ」

彼の口の動きを読んでわかったその2文字。

苦しいのを我慢して必死に私に伝えてくれようとするその2文字に私は頷いた。

「好き、私も、好きだよ三井くん」

彼はようやく安心したように頷いて、ちょっとだけ笑ってくれた。


< 48 / 64 >

この作品をシェア

pagetop