卒業式の祈り
仕方ないんだけど、ちょっと寂しいな。

「三井くんは?まだきていないの?」

私が尋ねるとみんなの表情が曇ったような気がした。

友人達は無言で顔を見合わせている。

「サラ、三井くんはまだ来ていないよ」

私の背中をさすってくれながら、ユキナは今にも泣きそうな声でつぶやく。

「サラ、三井くんが来るわけないよ」

「そうだよ、サラ」

他の女子生徒達が次々に声をあげる。

「そうだよ、サラ、だって三井くんはもう」

教室のあちこちから、女子達のすすり泣くような声が聞こえてくる。

男子達も暗い顔をしている。
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