卒業式の祈り
「三井くんは、キッチリした人だからこういう節目の行事には必ず参加するもん、だからきっと今日は来てくれるよ、そうでしょ?」

私は誰に話しかけるでもなく、ぼんやりと呟いていた。

もしかしたら、自分自身に言い聞かせていたのかもしれない。

真面目で律儀な彼のことだもの。卒業式にこないわけなんてないよ。

「そうか、あそこにいるのかもしれない」

私は立ち上がって、フラフラと教室を出て行こうとした。

「サラ、どうしたの?どこにいくの?」

不安げにユキナが追いかけてきて私の手を握る。

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