虹が架かる手紙
『たとえ真っ暗でも心が変われば何か見えるのかもしれませんね。
僕が言うのもあれなのですが、気づかれないところで光を灯してくれようとしてくれる人はいると思いますよ。』
もう1枚の紙を広げてみるといかにも男の子らしいぶっきらぼうな文字が目に映る。
この補助線を入れたような言葉遣い、断言しないとこが小滝君に似ている。
優しい感じ、ちゃんと考えてくれて書いているような感じ、全てが滝君そのもの。
ゾクッと胸で音がなり、紙に力を込める。
まさか………
小滝君じゃないよね。
僕という一人称は、かつて小滝君が使っていた。
今はどうなのか分からないし、たくさんの人が使う。
そうだ、小滝君は1年生の時硬筆で金賞をとっていたことがあった。
だから、この字は滝君のものではない。
胸をそっとおろして、再び紙の文字に目を持っていった。
心が変われば何か見える か………
自分でも分かっていた。
私は彼女らに強引に引っ張られながら目を閉じて耳を塞いで、抵抗もせずに体を預けて餌食にさせていた。
彼女らの手は冷たくて乱暴なもの。
そんな手について行ってはいけないのは分かっている。
振りほどけない私がいけないのも分かっていた。
目を開けてみる勇気があったのなら、光を見つけることが出来るのかもしれない。
でも、味方なんていない私が目を開けて薄らな光でも光があると思う?
そんなの思わない、信じない、
今までたくさんの人の冷たい目を向けられて裏切り者とレッケルを貼られ、避難される。
一部の人は危害を加えてくる、私のこと嫌いならかかわらないでほしい。
これを書いた人は、私が書いた文章の本当の意味に気づいた?
あえていじめを暗闇と例えて、たとえ見られても悟られないように、私しか分からない表現をしたつもりだった。
彼の言葉は私にぴったりとはまる。