虹が架かる手紙




『もし光があっても私は見なかったふりをする。私は報われてよい存在じゃない。』







こんなの、ただ逃げているだけ。



私は勇気がないだけ、でも小滝くんは辛い思いを私の何倍、何十倍もしてきた。



私もいじめられて分かる、いじめが終わったとしても将来この記憶が私を苦しめることになると思う、



孤独、不安、差別、みんなからかかる圧力、恐怖感、失望感、全てを忘れてることはできないはずだから。



小滝くんだってきっとそうじゃないかな。




私が彼の将来も悪い方に変えてしまった。




この罪は決して許されないもの。






それに
光があったとして、そこにもがいてたどり着こうとする気力だって私にはない。



私はもう充分ボロボロだから、これ以上ボロボロになんてなったら、私はどうなってしまうの?













次の日、私に全く関係ない彼に八つ当たりみたいな文字を書いてしまったことに気づいてくれて、朝誰もいない遅い時間に1階に訪れた。




幸い、人に出会わずに済んだ。




白い箱を手にして覗いてみると新たな紙が追加されていた。




昨日書いたばっかりなのに、いつ入れたのかな。




開けてみるのが怖くて、優しく和まそうと知らないはずの私のために言葉を向けてくれた彼が呆れて悪口を書いてるのかもしれない。




言葉だけの優しさなんてもう信じられない。



初めから適当に思ってもないことを返事くれていたのかもしれない。




そんなことが頭の中でぐるぐるしていて、開くのにかなり勇気が必要だった。








『僕はずっといじめられていました。



苦しくて逃げ出したくて、どんどん変わっていく自分の心情の中で僕は光だと思っていたものが真っ黒になって見失ってしまったんです。



でも、光を本当に薄っらだけど灯してくれようとしてくれた人がいたんです。



だから、光は存在します。誰にでも。
自分をしっかり持ってください。』






いじめられていた………?




やっぱり書いている人は小滝くんなんじゃないのかな。




でも、『いた』と過去形だから今はいじめられていないということだよね。




小学校とか中学校とかでいじめられていたっていう可能性も充分にあるかも。







それと、私は元から光なんてなかった。




初めから真っ暗でどんどん嫌な黒が足されて光どころか、何も見えなかった。




彼には灯してくれた光があったのかもしれないけど私にもあると断言することはできないはず。




誰でもなんてそんなのさすがにお世辞みたいな励ましだよね。





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