犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら



「でも、なんか悔しい。それ。」


なんて俺の嘘っぱちの言葉にも悔しそうに答える守屋がもうまた可愛すぎて、俺は口角が上がるのを隠しきれない。


この辺で、ちょっと攻めとくか。


そう決断して、「まぁでも」と言葉を継ぎ足した。


「まぁでも?」


俺の言葉を気にして、首を傾げる守屋に俺は背中を押されて、今ならいける。と少し攻めた言葉を言った。



「まぁでも、それより守屋のとびきり素敵な女の格好が見てみたかったってのが本当の理由だけど」



俺の言葉に合わせて、ぽっと守屋の頬が赤くなった。
お。これは好感触?


「ま、今日は残念ながら見えなかったし、また今度リベンジだな。
次はスカート履いてこいよ?思いっきり短いのでも、俺は大歓迎」


まだいけると思った俺は、もうひとこえ言葉を付け足した。
鈍感な守屋にも、このデートには次があるということが少しは分かってもらえただろうか。


そんな俺の気持ちに少しは勘づいたのか、守屋はさらに顔を赤くして、それを隠すためにコーヒーカップを必要以上に顔に近づけて持ち上げる。


なにそれ?もしかして照れ隠し?
可愛すぎんだろ。



少しでも守屋の意識が俺に向いたんじゃないかと思って、めちゃくちゃ嬉しい気持ちが隠せない。


たぶん、今の俺はかなりニヤニヤしてるだろう。


よかった。守屋がコーヒーカップで顔を隠してくれて。
俺のこんな緩んだ顔はまだ見られたくねぇ。




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