犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
そしてしばらく守屋の様子を伺っていたけど、いつまで経ってもコーヒーカップを置かない。
お前、それもうコーヒー入ってねぇだろ?
なんて思いながらも、そんな彼女に愛しい気持ちが止まらない。
今から何しようかなと考えていると、守屋もさすがに諦めたのかコーヒーカップをソーサーに戻した。
よし。これからが俺の大勝負だ。
どこまで守屋を俺の方に向かせることが出来るのか。
ガンバレ。俺。
気合いを入れ直して俺は守屋に『デート』という言葉を使ってこれからの行動を伝える。
「よし。やっと仕事終わった。
これから昼飯食って、やっと守屋と本物のデートができる」
そんな俺の言葉にはてなマークがたくさん浮かんでいる守屋に、畳み掛けるように「じゃ、行くか」と手を取って微笑んでみた。
初めて握ったその手は思ったよりも小さくて、細くて、俺が強く握ったら折れてしまいそうだった。
急に手を繋がれたのが嫌だったのか、守屋はブンブンと手を振って俺を振りほどこうとするけど、そんな彼女に
「ダメ。デートだから。
今日はこのまま。な?」
と言葉をかけると、案外素直に俺に従う彼女が可愛い。
ふとどんな顔をしているのか気になって下を向いてしまった彼女の顔を覗き込むと、かなり照れたような顔をしていて、
これ、きたんじゃね?
とすごく期待してしまう自分がいた。