犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
「予約した浅香です」
店員さんと会話をして、電話で希望した通りの席に通してもらった。
「予約してくれてたの?」
嬉しそうに俺に聞く守屋を見て、こんな無邪気で素直な一面もあったのかと思った。
俺にもこんな表情を見せてくれるなんて、恋人になるのも諦めたもんじゃねぇな。
なんて思いながら、ドリンクの注文をした。
守屋の好きな物はだいたい知ってるはずだ。
オッサンみたいなもんが好きだってことも知ってるけど、パスタやグラタンみたいにちゃっかり女子っぽいものも好きだってことも知ってる。
ビールや酎ハイ以外にもワインを飲むことも知ってる。
ちなみに、ワインなら赤だ。
俺はこの店の売りであるワインを飲んで欲しくて、赤のボトルを注文した。
そんな俺になぜかキョトンとした顔をしている守屋。
そして、しばらく百面相をしたあと急に真っ赤な顔をして黙り込んだ。