犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
これ、マジで飲まなくてよかったな〜。
飲んでたら俺、コイツのことめちゃくちゃにしてそう。
なんて自分の理性に感謝しながら海辺を歩いた。
あー。このまま早く俺のものになればいいのになー。
海辺でゆっくりふらふらと、好きな女と二人寄り添って歩くこの瞬間なんて、幸せ以外のなにものでもない。
「そう言えば、浅香の限定コスメのテーマ、聞いてなかったんだった。
何にしたの?」
俺が余韻に浸ってるって言うのに、守屋はそんなことを言い始めた。
こんな雰囲気に耐えられなくて仕事の話始めたんだろうな。
彼女の見えすぎる本心にやっぱり俺にドキドキしてくれてんじゃねぇかと思いながら俺はニヤッと口角が上がるのを抑えられない。
「守屋。今はデート中。仕事の話はしない。」
俺の言葉に、もう負けた。とでも言いたげな守屋。
そこからすっかり黙り込んでしまった彼女ともう少しだけ。と散歩を続けてから、車に戻った。