犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら



そこから2週間。


確かに、俺と桜木が話していると不機嫌そうな表情を浮かべる守屋を見て、案外桜木の作戦も悪くねぇかもと思った。



『ほらね?』と言わんばかりに自信満々の桜木にちょっと腹は立つけど、守屋が俺の方を気にしている気持ちが大きくなっているのもわかる気がした。



あの土曜のデート以来、なにも行動を起こしていないのに、守屋がここまで俺の事を気にしてくれるのは桜木の件があるからだと思う。



逆に言えば、桜木の件が無かったら、土曜のあのデートはただの気のせい。として片付けられていた可能性が高い。


ここまで人の気持ちを読み込んで、割と早くからこの課題に取り組んでくれていたっぽい桜木に、少しばかりいや、割と感謝の気持ちが湧いてきているのも事実。



やっぱり頼るべきものは、異性の友だちなのかもしれない。と1人で納得してはカッコわりぃ自分を少し恥じた。



それからさらに3週間。
話しかけそうになる気持ちを抑えて。
ちょっかいをかけたくなる気持ちを押し殺して。


俺はキツイ我慢の1ヶ月を乗り越えた。





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