犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
三宅と話す守屋はなんかいつもより上機嫌に見えて、赤く火照った頬に可愛い笑顔を浮かべている。
あーもー。そんな顔見せんなって。
なんて思いながらもこの状況を打開できない俺は完全に無力だ。
そこから営業部の遠藤も交えて日本酒に手を出し始めた。
ちょっと。
守屋そんなに強くねぇから飲ませねぇでくれる?
そんな俺の心の声が届く訳もなく、完全に酔っ払って隙だらけの守屋を、最悪...と思いながら見つめることしか出来なかった。
そしてしばらく日本酒を飲み続けて机にバタンと倒れ込んでしまった守屋に、三宅と遠藤が武部さんを呼んで、3人であたふたしている
様子が見えた。
だから言わんこっちゃない。
今すぐにでも守屋を家に連れて帰りたくてその場に行きたいのに、やっぱり周りの女が邪魔をする。
しばらくしたら、幹事が二次会参加者の人数を数え始めた。
「浅香くんも行くよね〜?♡」
なんて女たちの声に、そうだな。と適当に笑って返して、
「ごめん、トイレ行くわ」
とその場をとりあえず抜け出した。
とりあえず二次会の約束をしたことで女たちは散らばってくれた。
よし。これで邪魔者はいなくなったし、守屋を連れて帰れる。
そう思って、三宅と武部さんに抱えられている守屋に近づいた。