犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
はぁ〜。そんなに三宅と密着してる姿見たら結構メンタルくるんですけど...。
と思いながらも、そんなこと考えたって仕方ない。
「とりあえずタクシー呼んで送ろっか?」
と守屋を送っていこうとしている武部さんの声が耳に入る。
いやいや、三宅に家とか知られたくねぇし。
なんて突っ込みながら俺はぐでんぐでんになって垂れ下がった守屋の頭をぽんと叩いた。
「浅香くん!」
と、俺を見てびっくりしたような顔をする武部さんに少し目配せして、
「こんなんなるまで飲んで、お前はバカか」
と守屋を少し叱る。
酔ってる守屋にそんなことを言っても仕方が無いことは分かってるけど、言いたい気持ちを抑えられない。
まぁ、聞こえてねぇんだろうけど。
「武部さん、三宅。
コイツは俺が送ってくわ。」
急に登場してそんなことを言う俺に、さらにびっくりしたような顔をしているふたり。
「いや、でも俺が飲ませすぎたから俺が送るよ。武部さんとふたりだし、浅香が心配してるような間違いは絶対起こらないよ?」
なんて俺の気持ちを察しているように三宅はそう言った。
男なんて信用できるか。
好きな女の前で自分の理性を保てねぇのは最近の俺が身をもって証明している。
しかも、お互いが酔ってる状態だったらなおさら信用なんてするかよ。
そう思いながら、俺はなんとかこの状況を打開しようと、邪魔者たちにたくさん飲まされて酔ってしまった頭をフル回転させる。