犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
「はいはい。分かったからちょっとお前黙れ」
そう言いながらゆっくり守屋を下ろして立たせるけど、全然力が入らないその脚は、全く意味をなさず、結局俺が脇の下から支え上げるような姿勢になった。
俺よりも身長が低い守屋に合わせて屈むのはなかなかキツい。
しかも、俺も割と酔っ払ってるせいでしっかりと力が入らなかった。
早めにタクシーを捕まえねぇとこれはやばい。と思った俺は、俺に全体重を預けている守屋に前に歩くように声をかけた。
でも守屋は言うことを聞かずに俺の悪口を大声で言い始めた。
「浅香のばーか。ヘンタイ!
女好き!誰でもいいのか!お前わぁ〜!」
道のど真ん中で、好きな女になんでこんなこと言われなきゃなんねぇんだよ。
そう思いながら俺は守屋に文句を言いたくなった。
とりあえず、ここでは人目に着きすぎるから一本裏の道に入ろうと歩みを進めた。
重た...。これなら抱えてた方が数倍楽なんだけど。
と思いながらも、守屋もなんとか足を動かし始めたし、ここで抱えたらまた文句を言われるんだろうと思って、ゆっくりゆっくり歩くことにした。
「なんでお前はそんなに飲めねぇくせにガブガブ飲んでんだよ」
この状況を阻止できなかった俺に段々イライラしてきた俺は、正直な本音を守屋にぶつけてみた。
そんな俺に、だってぇ!浅香が...。と歯切れの悪い返事を返す守屋。
「俺がなんだよ」