犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
やっと路地裏に着いた俺はちょうど都合よくその辺にあったベンチに2人して腰を下ろした。
「で?俺が何?」
さっきからなかなか言葉を発さない守屋の顔を見て言葉の続きを促すと、守屋はどんどん涙目になって、俺に泣きつくように言った。
「浅香が...女の子にちやほやされて嬉しそうにしてるから...。
今日の夜の相手は?
あんなに居たのに私のお世話係でいいの?」
「は?」
「本当は今頃、女の子とホテルでいつも通り、イチャイチャして、ラブラブして、
欲満たしてたんじゃないの?」
コイツ...俺をなんだと思ってんだよ。
好きな女からの俺のイメージそれって。
結構傷つくわ...。
守屋の俺に対するイメージに、柄にもなくかなり落ち込んでいると急に守屋が俺の頬に両手をぎゅっと当ててきた。
「私は浅香のなに?どんな関係?
私の事、どう思ってるの?」
涙目でそんな確信的なことを言われて、俺はかなり回答に困った。
お前のことが好きだよ。
そう答えたらいいんだろうか。
でも、今の守屋に言ったところで『うそだぁ』とか言われて、明日には忘れられんのがオチだろう。
そう思うと、何も言葉が出てこない。
そんな俺に守屋は、やっぱりね。私は他の女の子と一緒だよね...。とぼそっと呟いた。
違ぇよ...そう言おうと思って口を開けた瞬間、
「浅香.....。ホテル、行こう?
他の子とそんな事するくらいだったら私でもいいでしょ?
こんなことになっちゃったお詫び。」
と守屋は涙目の上目遣いで俺を見たあと、すっと目を閉じて綺麗な涙を流すと、俺の唇に優しくキスをした。