犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら




同期の高橋とバスに乗りこんで、他愛のない話でなんとなく暇を潰す。



今頃、守屋は何を考えてるんだろうか。
俺の事が1ミリでも頭にあればいいけど、完全シャットアウトだったらキツイなー。



なんて思いながら、いや。それでもこの5年間の思いをそんなに簡単に諦められるわけねぇ。と自分を奮い立たせた。



とりあえず、バスから降りて鍵をもらったら、守屋に話しかけよう。



『よ。なんか久しぶり。』

『スカート似合ってんじゃん。俺のため?』

『どーせ武部さん青木と回るんだろ?
自由行動、俺がついてってやろうか?』



頭の中で話しかける言葉を探すけど、出てくる言葉が全部軽い印象を与えそうで、今のこの状況で守屋にかけるに相応しい言葉なんて全然出てこなかった。




もっと俺が素直なキャラなら言いようもあったのかもしれない。と少しばかり自分が作り上げてきたこのキャラを悔やんだ。





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