犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
そうこう考えているうちにバスは旅館に到着した。
よし。とりあえず、なんでもいい。
守屋にちゃんと話しかけよう。
そう思って俺が降り立った矢先、
何故かそこには女の塊が出来ていて、一気に俺まで押し寄せた。
その女子たちをスっとかわして旅館の中に行ってしまった守屋の背中を見ながら、更に自分のキャラを恨んだ。
こんなだから、守屋にも信用されてねぇし、こんな素直に会話も出来ねぇ状況になるんだよな…。
はぁ。俺ってどこまで浅はかなんだよ…。
そんなことを思いながらも、
どこをどう直せばよかったのかも分からず、俺はとりあえず情けない気持ちでいっぱいになった。
女子の大群もなんとか振り切ってホテルの部屋に入ると、
「色男も大変だねぇ」
と同期の高橋が声をかけてきた。
「そーだな。まぁ俺の態度がわりぃんだろうけどな。」
この状況で、そう答えるしかなかった俺に、高橋は慰めの言葉をくれた。
「浅香は悪くねぇよ。
女のテンション下げても、その場の空気悪くするだけだし、あーいう対応するしかなくね?
俺は、お前の選択、間違ってないと思う。
あとはまぁ、そのお前の真っ直ぐな守屋さんへの気持ち?
俺はめっちゃいいと思ってるし、
同じ男として結構尊敬してる。
俺はマジで応援してるから」