犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら




あ〜この感じだと、絶対告ったな。三宅。



先越された。


と少々絶望を感じながらも、宴会がスタートしたから、なんとなく楽しんでいる風を装う俺。




守屋が上司たちにお酌しながら、少しずつ酔っ払って顔を赤くする様子を見て、
おい、その辺にしとけよ。
と言いたい気持ちをぐっと堪える。



上げた髪がいい感じに崩れて、色気が出まくる守屋にニヤニヤしている上司たちに腹が立ちつつ、

守屋に触れたらすぐ文句言ってやると思いながら、


俺は近くに来ている女たちの機嫌を損ねないように適当に返事をしていた。





そしてしばらくすると、急に守屋は立ち上がって外に出ていった。




おい。ちょっと。それで1人になったらめちゃくちゃ危ねぇだろうが。



と無防備な守屋にイライラしながら俺もあとを追いかけようとした。



「えっ、浅香くん。どこか行っちゃうの?」
「もうちょっと一緒に飲もうよぉ〜♡」



そんなふうに聞こえる声にも、今は気を遣った対応している場合じゃない。



「わり。だいぶ飲んだし外出るわ」




少しキツめにそう言うと、俺はコートを手に外に出た。




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