犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら




ったく。自分の魅力くらい気づいとけよ。
マジでお前、襲われるぞ。


と思いながら、そんなこと言える訳もなく、


「お前バカか。風邪ひくつもり?」



と言葉をかけて寒そうな守屋の肩にかけた。
凛としたように見えて、小さくて華奢な肩に、俺が1番近くで守ってやりたい。と思う。


少し手にあたった浴衣がかなりひんやりしている。
ったく。マジで風邪ひくぞ。バカ。



そう思っていると、


「浅香、自分のは?」



と少し心配そうな守屋がいた。



「俺はいい。酒飲まされすぎて熱い身体冷やしに来たから。」



心配そうな守屋に、お前が優先に決まってんだろ。なんて言葉も言えるわけなく、また素直じゃねぇ言葉しか出てこない。



まぁ嘘ではない。
自由行動の時から飲んでるし、まぁまぁいい感じに酔っ払ってきてるのも事実ではあった。


そんな俺にまた


「いっぱい飲んでたの?」



と心配そうな守屋。


あーもー。マジで可愛すぎねぇ?
そんなに俺の事心配してくれんのかよ。


なんて思いながらも、素直に俺が言えるわけもなく、


「あー。飲め飲めうるせーからな。
そんなことして酔っ払っても俺がテキトーに女抱くわけけねぇのに。
昨年も同じことされたから、逃げるためにコート持ってきてた。」



とまた嘘でも本当でもない言葉をペラペラと口ずさむ。



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