犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
あー、言っちまった。
これで守屋の口から『好きだよ』なんて聞いてしまったら立ち直れないことくらい分かったはずなのに。
感情に身を任せて言ってしまった。
守屋の答えをとにかく早く聞きたいような聞きたくないようなそんな気持ちに支配される。
『好きじゃないに決まってるじゃない』
くらい言ってくれ。
そう思いながら守屋を見ても、ふいっと視線を逸らされてしまった。
んだよ。どっちだよ。
なんて焦る思いは前に出せるわけもなく、今更余裕ぶって守屋に近づいた。
久しぶりに近くで見る顔はやっぱり俺のどタイプで、なんとなく話さなかった間に更に綺麗になったような気がした。
それが三宅に恋しているからなら、我慢ならねぇくらいに腹が立つ。
そう思うと、俺のものにしたくてたまらなくなった。
俺の方向けよ。
守屋のその可愛い顔、俺だけに見せてくれよ。
とめどなく守屋への思いが溢れる。
隣にいるのは俺が当たり前だったのに、今では俺の知らない守屋がいることに、
相当な寂しさを覚えた。