犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
俺の事、ちゃんと見ろ。
そんな思いだったんだと思う。
気がつけば、守屋の顎をスっと掬って目線を合わせている俺がいた。
この瞳を、こんなに近くで見つめるのはいつぶりだろう。
そう遠くない過去のはずが、もう何年も見ていない気がした。
相変わらず綺麗だな。
こんな綺麗な顔を三宅にも見せたのか。
なんとなく胸がぎゅっと締め付けられるような感じがした。
さっきまで強気でいられたのに。
守屋と視線を交わらせるだけで、もう何も言えなくなる。
守屋。
俺、お前に相当惚れてんだぞ。
あの時の俺の決死の告白も、これまでの思いも、お前は忘れたのか?
言葉にできない思いが溢れて仕方ない。
目の前にいる守屋が愛しくて仕方ない。
守屋。もう、俺ら、素直になってもいいんじゃねぇの?
もう一度、『大好きになりそう』
あの言葉をくれた夜の気持ちに、戻ってくれ。
そう思うと何だか切なくて、自然とポロッと素直な気持ちが溢れた。
「夢だと思って忘れてって?
お前は忘れたの?あの日のこと。」
俺の言葉に少し動揺しているようにも見える守屋。
どこまで忘れたんだ。お前は。
初めてお前に想いを打ち明けた。
初めてお前の素直な気持ちに触れた気がした。
初めてお前の素肌に触れた。
俺はあの夜が特別で。
忘れるなんて…
「俺は無理だ。
忘れられるわけねぇーだろ。バカ守屋」