犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら



「ねぇ。浅香...ダメ。」



そんな言葉がもっと男に火をつけるって知ってる?

そう聞きたいくらい、守屋の声は色っぽくて、俺の心にもっともっと火をつける。


でもこのまま流れてしまえば、あの夜と同じだ。


それに、今は社内旅行。
十分に気持ちを伝えたとしても、2人でゆっくり話し合う時間も、場所もない。



それから、俺が必死の思いでやってきた新作コスメ。
守屋への気持ちを十分過ぎるほど詰め込んだあの企画を通してやっぱり守屋には想いを伝えたかった。




ここで我慢するのも男の役目だ。


そう思って、寂しすぎる気持ちで守屋へのキスをフェードアウトさせた。



そんな俺の気持ちなんてひとつも知らないであろう守屋は、もう終わり?と言いたげな可愛い目を向けてくる。



「お前、その目やめろ。
マジで止まんなくなるし、もう俺も我慢のタガ外れる寸前だから。」



俺のそんな言葉に恥ずかしさを覚えたのか、さっと下を向いて、さらにはだけた浴衣を見て恥ずかしそうにすぐに直す守屋にまた堪らなく愛おしい気持ちが溢れる。


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