犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら



ダッせぇな俺。


こんなんじゃ一向に男として意識してもらえねぇんじゃねーか?


なんて思って少し焦った俺は、

「あぁ。わりぃ。
その音楽、俺が好きで流してんだよ。」


とせっかくのチャンスを無駄にしてしまった。


守屋も素直じゃねぇけど。俺もたいがいだな。


なんて思ってると、
「なーんだ。浅香がそんな気利かせるわけないか〜」
と守屋に言われてしまった。



何やってんだ、俺。



とりあえず自己嫌悪に陥りながらもなんとか、目的の商業施設にたどり着いた。

助手席に回って、今度こそと思ってエスコートした行動も完全無視されてしまったのに、やっぱりそんな強気なところもいいなと思った。


俺、今まで自分は結構Sサイドの人間だと思ってたけど、割とMだったりして?

いや、ないか。

守屋に強気な態度とられんのも、彼女の本心では少し照れていたり、感謝している心があるとなんとなく分かってるからいい訳で。

決して、ハナから相手にされないような所に喜びを感じてるわけじゃねぇもんな。


目標が高ければ高いほど、手に入れた時に見る景色は素晴らしいっていうし、望むところか。


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