バックシャンとよばないで
バックシャンーーー
まだ10代の頃、母方の祖父に言われた言葉を思い出す
友達に言っても「なにそれ?おいしいの?」と聞き返された単語は、平成に生きる若者で知る人は少ないだろう
智絵里も祖父に言われるまで、見たことも聞いたこともなかった言葉だった
バックは英語で後ろの意、シャンとはドイツ語で美しい・美人という意味で、併せて後姿が美しい、またはその女性のことを指す和製英語だ
転じて「後姿は美人だけど、前から見たら不細工だった」という大変失礼な言葉として使われていたそうで
10代の乙女に笑顔で話し聞かせる祖父に一瞬殺意が芽生えたが、そばで聞いていた祖母が
「可愛い孫に何ぬかしとんじゃワレ~!」
と鉄拳制裁を食らわしてくれたので溜飲を下げたことは、忘れられない思い出である