3度目に、君を好きになったとき
僕の悩みを吹き飛ばすように笑った永野未琴は、特に友人の変化を気にしていない様子で。
やっぱり自分は結衣にとって、すぐに忘れてしまうほど、重要な存在ではないのだと再確認させられた。
不意に、肩の辺りに感じていた重みがなくなり、微かに寂しさを感じる。
「あっ……すみません、私……!」
かなり焦った様子の結衣は、狭い席だというのに窓際へ思い切り体を寄せ、僕から距離をあけた。
「いや、大丈夫だよ。よく眠れた?」
「……はい」
うつむいた結衣の頬がうっすら赤い。
恥ずかしそうなその様子に、心を持っていかれそうになる。
動物園で目を輝かせる結衣は可愛すぎて、何かしてあげたい気持ちになった。だから、ついプレゼントを贈ったけれど。
積極的に行きすぎて、引かれていないか不安になった。
嬉しそうに受け取ってくれたのは社交辞令だとしたら。本当は、僕のことをどう思っているのだろう……。
自分に気持ちが向いていないなら、もっと努力するしかない。
これ以上好きになったら自分が傷を負う、という矛盾を抱えながらも。
昔とは違い、このまま諦めるという選択肢は今の自分にはなかった。