3度目に、君を好きになったとき
*
放課後の美術室は、いつもと変わらない日常に戻っていた。
あのとき手を繋いでくれた蓮先輩が嘘のように、一定の距離が保たれている。
みんなで遠方の動物園へ行くという非日常のイベントだったから、自然と親しい雰囲気になっていただけで。
終わってみれば、普段どおりの生活。
席は遠いし、目もたまにしか合わない。
当然、蓮先輩が私に触れてくることも、必要以上に話しかけてくることもなかった。
動物園の日の先輩は、本当に優しかったな……と机の上にスケッチブックを広げ、絵を描きながら思い出す。
上着を肩にかけてくれたり。さりげなく私の髪を撫でたり。
きっと女の子の扱いに慣れているんだろうな、と余計な嫉妬をしてしまう。
窓際の席に座った私は、廊下側の席でキャンバスに向かい作業をしている蓮先輩を盗み見る。
真剣に色を塗る、その横顔も好きだった。
ずっと見ていたいくらいに。
「――お前さ、見すぎだから。あいつのこと」
突然、背後から話しかけられ、ビクリと肩が揺れる。
放課後の美術室は、いつもと変わらない日常に戻っていた。
あのとき手を繋いでくれた蓮先輩が嘘のように、一定の距離が保たれている。
みんなで遠方の動物園へ行くという非日常のイベントだったから、自然と親しい雰囲気になっていただけで。
終わってみれば、普段どおりの生活。
席は遠いし、目もたまにしか合わない。
当然、蓮先輩が私に触れてくることも、必要以上に話しかけてくることもなかった。
動物園の日の先輩は、本当に優しかったな……と机の上にスケッチブックを広げ、絵を描きながら思い出す。
上着を肩にかけてくれたり。さりげなく私の髪を撫でたり。
きっと女の子の扱いに慣れているんだろうな、と余計な嫉妬をしてしまう。
窓際の席に座った私は、廊下側の席でキャンバスに向かい作業をしている蓮先輩を盗み見る。
真剣に色を塗る、その横顔も好きだった。
ずっと見ていたいくらいに。
「――お前さ、見すぎだから。あいつのこと」
突然、背後から話しかけられ、ビクリと肩が揺れる。