3度目に、君を好きになったとき
千尋先輩は私のことなんて、女とすら思っていないくせに。
「つなぎ、ねぇ……。親友が白坂のことを気に入っているから、今まで俺は遠慮していただけだったとしたら?」
「冗談、ですよね」
眼鏡越しの鋭い瞳には、からかっている雰囲気はない。
ひと気が少ないとはいえ、玄関付近にはまだ、ちらほらと生徒の姿があり、周囲からの視線が気になった。
「私のこと好みじゃないですもんね、千尋先輩」
確か歴代の彼女は、美人系が多かったはず。
そう、未琴のようなスタイルの良いお姉さん系。
だから私みたいな平凡地味女子は相手にするわけがない。
「さあ。どうだろうな。たまにはお前みたいなのもいいと思うかもよ。いつも似たようなタイプじゃ、飽きるしな」
「人のこと珍獣みたいに言わないでください」
「そこまでは言ってない」
すぐ、こうやって言い合いになるし。
単に千尋先輩は、この状況を面白がっているだけなのだと思う。