3度目に、君を好きになったとき

「あっ。噂をすれば!」

突然、未琴が廊下へ目をやり声を上げた。


真鳥(まとり)ー、ちょっと待って」

教室の前を通った背の高い男子生徒は、その声に立ち止まりこちらを向いた。


「今日、部活休みなんでしょ? この前言ってた子を紹介するから少し時間くれる?」

有無を言わせない口調で、未琴は彼を引き止める。


「え……真鳥?」


どこかで聞いたことのある名前だと思ったら、未琴が親しげに声をかけたのは中学のときの同級生だった。

高校一年になった今は隣のクラスで、未琴と同じクラスのはず。


「あれ、結衣も知ってた? 真鳥のこと」

「うん。覚えてるよ。中学のとき、同じクラスになったことあるよね」

「あー……、そうだった?」


彼は無愛想にニコリともせず首をひねる。


下の名前は忘れてしまったけど。
中学のときから変わらずクールな雰囲気。

顔はだいぶ可愛さが抜けて大人びていた。


今もサッカー部で、女子からの人気がわりと高い方だと聞く。

その証拠に彼の手にはプレゼントと見られる紙袋がいくつか提げられていた。
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