3度目に、君を好きになったとき
「付き合ってはいないよ」


先に答えたのは蓮先輩だった。


「僕がただ、大切にしているだけ」


三井先輩がハッと息を呑む。


「蓮……。その子のこと、まだ忘れてなかったんだね」


悔しそうに唇をかみ、私のことを一瞬睨みつけた。

二人の事情を知らない私は、何も言えず下を向く。


蓮先輩は肯定も否定もせず、沈黙を保っていた。


「ねえ、考え直してよ。その子にいつまでも関わってたら、あとで後悔することになるよ?」


その言葉に、胸が小さく痛む。

私の過去のことで後悔なんてさせたくない。


それに。蓮先輩には過去を知られたくない。知られたら、きっと嫌われる。

なぜかそう確信した。


私は、先輩から離れた方がいいの……?
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