3度目に、君を好きになったとき
「初対面じゃないなら話が早いね。真鳥、結衣は失恋で傷心中だから、慰めてあげてよ。あんたも今は彼女いないんでしょ」
「……は?」
「じゃ、私はバイトがあるから」
未琴は片手を上げ、さっさと昇降口の方へ向かってしまう。
「……え、未琴?」
「何なんだよ一体」
私と真鳥は同じように戸惑った表情を浮かべる。
「真鳥ー、ちゃんと結衣のこと家まで送りなさいよ。もう外は薄暗いんだから」
振り返った未琴は悪戯っぽく笑い、姿を消してしまった。
残された私たちは気まずげに顔を見合わせる。
「ごめんね、急に。用事があるなら先に帰っていいよ」
「いや、別に用事はないし。紹介したい子がいるっていうのは前から聞いてたから。……まさか白坂のことだったとは思わなかったけど」
「……真鳥って、未琴と友達なんだね」
「うーん、まあ」
真鳥は歯切れ悪く答える。
(もしかして、昔付き合ってたとか言わないよね)
深くは聞けず、そのまま何となく一緒に帰ることになった。