3度目に、君を好きになったとき

――自分の体から抹消したいほどの出来事。

そのほとんどは、自分の頭の中に封じ込められているはずだけど。

私だけが忘れたからといって、他の人の記憶から消えたわけではない。


私以外の人が覚えている限り、その過去はなくならないんだ。




破れた教科書。

沢本君の冷たい眼差し。

私の首にかけられた手。



あの記憶の断片から、私はたぶん中学のとき、周囲から疎まれていた。

もしくは、いじめられていたのだと思う。


だから三井先輩は、そんな女と蓮先輩が一緒にいることに反対している。

イメージを悪くして迷惑をかける――最悪、蓮先輩までもが嫌われてしまうからと。




隣を静かに歩く蓮先輩は、どこまで知っているのだろう。

まだ一緒にいてくれるということは、三井先輩から全てを聞かされてはいない……?



もし、未琴や椎名さんにも私のよくない噂が耳に入ったら。

きっと私のそばから去っていくだろう。


蓮先輩や千尋先輩も、当然のように……。
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