3度目に、君を好きになったとき
昇降口を出たとき、今は一番会いたくない人と鉢合わせてしまい、思わず立ち止まる。
(柏木先輩……)
隣には三井先輩がいて、彼女のために部活を早めに切り上げたのか、珍しく早い帰宅だ。
柏木先輩は私に気づいたあと、ちらっと私の隣に立つ真鳥へ視線を向けた。
三井先輩は彼を促すように腕をからませ、寄り添った状態で私の様子を窺っている。
どちらかといえば彼女は睨むような目つきだった。
二人は本当によりを戻したようで、柏木先輩も彼女の腕を振りほどくことはない。
「…………」
柏木先輩はなぜだか切なそうに目を伏せ、私たちのそばを無言で通り過ぎて行く。
夢で告白を断ったときの彼の表情と重なった。
普通に考えたら、真鳥との関係を誤解されたのだと思う。
せめて未琴がいてくれたら、誤解されることはなかったのに。
「──あの人に、失恋したってこと?」
私の視線と表情で気づいたのか、真鳥が柏木先輩の背中を見据え、確認してくる。
目の表面に涙が溜まり始めていて、慌てて真鳥に背を向けた。