3度目に、君を好きになったとき

序盤は繊細な旋律。

雨雫が湖面で跳ねているかのような、透き通った音だった。

終盤は徐々に力強さが見え、メロディで物語を描いているように思えた。


心が浄化され、自然と涙があふれてくる。


涙に気づいた先輩が、そっとハンカチで頬を拭ってくれる。



こんなに幸せな時間。

何だか先輩を騙している気分になる。

本当は偽りの時間なのに、先輩は気づかず優しくしてくれる。


早く、過去の記憶を取り戻さないと。

先輩をこれ以上騙していたくないから。





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