3度目に、君を好きになったとき

「たとえば……、好きな人と一緒にいるときとかに」


慎重に言葉を選びながら答えると、真鳥はしばらく黙ったあと、「そっか」と小さくつぶやいた。


「たぶん、記憶を取り戻すのに手っ取り早い方法が他にもあって」


そう言いながら、真鳥は私の前髪の辺りを指差した。


「白坂の額にもう一度キスすれば、全て思い出せるはずなんだ」


 淡々とした口調で、あり得ない台詞を吐かれ、目を見開く。


キ、キス……?

どういうこと……?

キスなんて、まさか真鳥とできるはずがない。


「……っ、ならいい。教えてくれなくても」


慌てて断ったら、真鳥の言葉に違和感を覚えてハッとする。



今……“もう一度”って言わなかった?

キスをもう一度する――ということ?



それは、いつか見たあの幻覚が、現実のものだと証明されたということで。

私は確かに、真鳥からキスをされたことがあるらしい。

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