3度目に、君を好きになったとき
「それなら、早く忘れたらいいんじゃない? どう考えても、白坂に勝ち目はないだろ」
失礼なことを言い放ち、強く腕を引いてきたので、真鳥に泣き顔を晒すことになってしまう。
「俺が忘れさせてやるよ」
泣き顔を間近でじっと見つめ、勘違いしそうな台詞を言ってくる。
「ちょっと寄り道してから、家まで送るから」
低くそう言ったあと、真鳥は私の手首を掴み歩き始めた。
*
真鳥に連れられてきたのは、学校から歩いてすぐの所にある、まだ雪の残る公園だった。
中央に滑り台やブランコがあり、その隣にはあずま屋があった。
真鳥はそこに私を案内し、木のテーブルに鞄や荷物を置く。
まだ雪が解けていないこともあり、私たち以外誰もいない。
「で、今から白坂の記憶の一部を消すけど、本当にあの先輩のことを忘れたい?」
「……え?」
記憶を、消す?
簡単にそんなことを言うけれど。普通に考えて、誰かの記憶を消すなんて有り得ない。
「何言ってるの?」
「信じられない、か。まあ普通はそうだよな」
あずま屋の下で私と真鳥は向かい合う。