3度目に、君を好きになったとき
ふと、スマホが振動し、メッセージが入ったことに気づいた。
表示された名前は、密かに憧れている、柏木蓮先輩だった。
好きな人、とは少し違う。
彼の描く絵が、私は好き。
また先輩の絵を見たいな、と微かな願いを頭に浮かべてメッセージを読んだら、その内容に目を疑った。
『今日、家に来れる? 見せたいものがあるんだ』
家に、誘われてる……?
見せたいものって何だろう。
先輩の描いた絵だといいな。
初めてのことにドキドキしつつも、すぐにメッセージを返した。
「結衣、今日一緒に帰らない?」
隣でスマホを取り出した未琴が、珍しく私を誘ってきた。
けれどタイミングが悪く、顔を曇らせる。
「あ……これから、蓮先輩の家に行くことになってて」
「そっかぁ。──結衣。やっと女になるんだね。気をつけなよ?」
数秒ほど考えて、未琴の言っている意味がわかった。
「なっ……先輩は、そんなこと考えてないから」
思いきり否定したら、冷めた目を向けられた。