3度目に、君を好きになったとき
「何言ってんの。柏木先輩も男だよ? 女の子に触れたいって気持ちで、頭がいっぱいになってるって」
「そんな……こと……ないよ」
思わず赤面し、頬を隠すためにうつむく。
「危ないと思ったら、すぐ帰るんだよー」
「危なくなんて、ならないから」
先輩は私のことを後輩としか見ていないはずだし、ただ美術部に関することで誘ってくれただけ。
だから、そんな未琴のアドバイスは無意味だと思う。
「でも──柏木先輩はさ、まだ三井先輩と続いてるっていう噂もあるから。本気にならない方がいいかもね?」
三井先輩の名前が出てきて、一瞬、軽く息が止まった。
まだ、関係が続いているかもしれない。
それなら……これ以上、好きにはならないようにしなきゃと自分に言い聞かせる。
──もう二度と、傷つくのは嫌だから。