3度目に、君を好きになったとき
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side 蓮
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『ある、かもしれないです。……好きじゃない人となら』
結衣を自宅まで送り届けたあと、一人今日の出来事を思い返す。
好きじゃない相手なら、どうして真鳥を受け入れていたのか。
あのとき、結衣は彼からのキスを嫌がっているようには見えなかった。
それとも、中学卒業前の自分が結衣にしたことも含まれている……?
遠回しに自分のことも『好きじゃない』と拒否されている気がした。
彼女は自分との思い出も、絵のことも、すべて忘れている。
いや、忘れた振りをしているのか……。
だとしたら、もう結衣に近づくのはおしまいにしよう。
元々、結衣があの約束を忘れていたら、諦めようと思っていた。
あの絵を実際に見ても、少しも表情を変えず。
ただ、空の色を褒めてきただけだった。
さすがにショックは大きく、結衣にとって自分は、特別には程遠いのだと改めて思い知らされた。