3度目に、君を好きになったとき

「たとえば。忘れたい過去の記憶も消すことができるんだ。どう? 試してみたくない?」


そう言われ、彼の誘導するとおりに気持ちが傾いていく。

忘れたい過去は、私には数え切れないほどあった。


「未琴から、白坂のことを慰めて欲しいと言われてるのもあるし。できれば、試してみて欲しい」

「でも、私の記憶を消してくれたとして、真鳥に何のメリットがあるの?」

「俺のこの力はまだ、試した回数が少なすぎる。白坂が実験台になってくれるなら、この先、何度でも忘れたい記憶を消してあげられるよ」


未琴が真鳥を私に紹介してきたのは、こういう意味?

未琴も彼の能力を知っているのか定かではないけれど。
普通に男の子を紹介してくれるわけではなかったのかもしれないと気づいた。


「いいけど、どうやって記憶を消すの?」

「忘れたい記憶を思い浮かべて、俺が相手の額にキスをする。それだけ」

「……へっ? それだけ、って」


冗談ではないことは、恥ずかしげもなく告げた真鳥の真剣な表情でわかった。
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