3度目に、君を好きになったとき

蓮先輩に、嫌われる……。


それは私にとって、一番避けたい出来事だ。

この世の終わりと言ってもいいくらいの――。


「おとなしく、俺と付き合っておけよ」

「……付き合わない」


沢本君を睨むようにして断ると、彼の表情がみるみるうちに歪んでいった。


「じゃあ、ばらすからな。蓮先輩に。あのことを」

「あのこと……?」


哀しげな目をした沢本君が、私の首に手を伸ばした。

手のひらで首筋をなぞり、感触を確かめるように柔く圧をかける。


「本当に白坂は、俺の言うことを聞かないな」


首にかかる両手に、それほど力は入っていない。

いつ、力を込めて絞められるか。

その緊張感だけがあった。



以前も、今とほぼ同じ状況になったことがあった気がする。

あれは確か、中学生のときに……。



「どうしたら、あいつのことを忘れる? ここまでしても、忘れないなんてな」


彼の指が私の喉の上を滑る。


「俺のことは無視して、自分だけ幸せになろうとするなんて。都合がよすぎるんじゃないか?」
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