3度目に、君を好きになったとき
「白坂。俺にあんなことまでされて……あいつに知られたら、困る秘密ばかり持ってるな」
意地悪く笑った沢本君は、低く耳元で囁いた。
きっと私が色々と忘れているせいで、彼の指す言葉の意味は、ほとんど思い当たらなかったけれど。
ただ、これだけは言える。
「秘密を知られて、嫌われたとしても……それでも私は、蓮先輩が好き。先輩の絵が好き」
もう、嫌われてもいい。
充分、先輩のそばにいられたし、たくさん幸せをもらった。
何より、自分が嫌われるよりも、先輩を好きな気持ちを消したくない。
ただ、先輩を好きでいたい。
永遠に片想いだとしても。
「……もしかして。沢本君も、同じなの?」
ふと、私は不穏な色をした彼の瞳を覗き込んだ。
「私みたいに、過去の秘密を知られて、人に嫌われてしまうのが怖かったの?」
沢本君はギクリとした様子で表情を強張らせる。
「そんな過去があるからって、私は嫌わないよ」
「……は?」
憑き物が落ちたように、彼は聞き返した。
「だったら……何であのとき、見て見ぬふりをした?」
見て、見ぬふり……?
「――それは違うよ、沢本」
不意にアルトの声が響いた。
沢本君が私のそばから一歩離れ、声の主を睨みつける。
意地悪く笑った沢本君は、低く耳元で囁いた。
きっと私が色々と忘れているせいで、彼の指す言葉の意味は、ほとんど思い当たらなかったけれど。
ただ、これだけは言える。
「秘密を知られて、嫌われたとしても……それでも私は、蓮先輩が好き。先輩の絵が好き」
もう、嫌われてもいい。
充分、先輩のそばにいられたし、たくさん幸せをもらった。
何より、自分が嫌われるよりも、先輩を好きな気持ちを消したくない。
ただ、先輩を好きでいたい。
永遠に片想いだとしても。
「……もしかして。沢本君も、同じなの?」
ふと、私は不穏な色をした彼の瞳を覗き込んだ。
「私みたいに、過去の秘密を知られて、人に嫌われてしまうのが怖かったの?」
沢本君はギクリとした様子で表情を強張らせる。
「そんな過去があるからって、私は嫌わないよ」
「……は?」
憑き物が落ちたように、彼は聞き返した。
「だったら……何であのとき、見て見ぬふりをした?」
見て、見ぬふり……?
「――それは違うよ、沢本」
不意にアルトの声が響いた。
沢本君が私のそばから一歩離れ、声の主を睨みつける。