3度目に、君を好きになったとき
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side 蓮
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彼女を忘れるどころか、日に日に気持ちが強くなっていった。

友人の前では、会話を楽しんでいる振りをして。
嘘の笑顔を作っている。


部活に出る意欲もなく、背中に重石を乗せた気分で廊下を歩いていたときだった。


「どうしよう、真鳥!」


結衣と仲のいい永野未琴が、慌てた様子で廊下を走り、真鳥へ何かを報告していた。


「結衣が、少しずつ思い出しかけているかもしれないの」

「……ああ、やっぱり? 俺もそんな気がしてた。この力は完璧じゃないってことだな」


真鳥は自分の手のひらを見つめながら返答している。


力とは、一体何のことだろう。


「真鳥。念のためにもう一度、あの子の記憶を消してきてよ」


――記憶を、消す?


非現実的な話だが、それが本当の話なら、結衣は真鳥に記憶を操作されていることになる。

何かが、繋がった気がした。



「今、沢本と校舎の外にいるはずだから」

「……わかったよ」


渋々といった様子で真鳥がうなずき、二人は昇降口の方へ消えていった。

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