3度目に、君を好きになったとき


「蓮? どこに行くの?」


二人のあとを追い、廊下を足早に進んでいたとき。

いつの間にか近距離にいた三井が、袖を引いて遮ってきた。

それを無意識に軽く振り払った自分は、思いのほか冷たい態度を取っていたらしく。

彼女は自分の手を押さえ、顔を引きつらせた。


「蓮……」


傷ついた目をした三井のことは気にせず、裏庭へ急ぐ。

もう、結衣のことしか頭になかった。




校舎裏へたどり着くと、奥に人の気配がした。

一人の男子生徒が、校舎の壁に結衣を押しつけているのが見え、驚きよりも怒りが先に立つ。



「っ、ちょっと待ってよ、蓮!」


撒いたはずの三井が追いかけてきたが、振り返らずに結衣の姿だけを注視した。


彼女の表情は苦しげで、今にも泣き出しそうで。

とても目の前の男を受け入れているようには見えない。



だから、結衣を助けなくては――


そう、決意を固めた。


たとえ、結衣の気持ちが自分になくても。



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