3度目に、君を好きになったとき
「傷つけられた側は、どれだけ時間が経っても、ずっとそのときの相手の表情が残る」


まるで、自分もその経験をしたことがあるような言い方だった。


「いじめた方は覚えていなくても。そうやって嗤われた方は、いつまでも記憶に残っているんだよ。消えないんだ、その表情が。
きっと、大人になっても……ずっと」

「……」

「自分の友人には、そんな顔はして欲しくない」


そっと見上げた蓮先輩の表情は、軽蔑したものではなく――ただ哀しげだった。

蔑みや嘲りを含んでいても、おかしくはないのに。



いじめが良くないと言うんじゃなくて。

そのときの表情が嫌だと言うなんて……、


自分でも気づかないうちに、頬に涙が伝っていた。





怒りやショックを隠し切れないためか、三井先輩は背を向けた。

頬を拭う仕草をしたあと、校舎の方へ戻っていく。

沢本君もそれに続いた。



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