3度目に、君を好きになったとき

「蓮先輩が助けてくれたおかげです。私は記憶を取り戻せたし、過去の自分とも向き合えたので。本当に……ありがとうございます」


感謝の気持ちを込め、深くお辞儀をする。


「今まで、すみませんでした」


思えば、先輩には失礼なことばかり言ってしまった。

記憶を操作され、忘れていたとはいえ、何度彼を傷つけたかと思うと心が痛む。

それこそ、とっくに嫌われてしまっていても、おかしくはない。


そして、一番謝らないといけないのは――


「中学のとき、先輩の告白を断ってごめんなさい」

「……」

「内心はすごく、嬉しかったのに」


今頃後悔しても、取り戻せない。

先輩を傷つけたことに変わりはないのだから。



「結衣……」

「過去の自分を知られて、軽蔑の目で見られたらと思うと、怖くて受け入れられなかったんです」


弱くて、そんな自分が情けない。

なのに先輩は、歩みを止めたあと、私の髪を優しく撫でてくれた。


「僕の方がごめん。ずっと結衣が苦しんでいたのに、気づいてあげられなかった」

「そんな……、先輩は悪くありません」


そばにいる彼を見上げたら、切なさを混じえた真剣な瞳と視線がぶつかって、心臓がドキリと高鳴る。
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