3度目に、君を好きになったとき
私は空の絵だけでなく、目の前にいる先輩にも憧れを持っていた。
別に彼女になりたいとか、そこまでの想いではなくて。
ただ時々一緒に絵を描き、話ができればという程度。
先輩にはファンの子がたくさんいるけど、私はそこには混ざれない。
気軽に話しかけに行けるその子たちみたいに、自分に自信があるわけではないし。先輩と並んでつり合いの取れるような見た目でもないから。
「最近、一緒にいる人……白坂さんの彼氏?」
思いがけないことを言われ、画材の準備をしていた手が止まる。
先輩の顔をちらりと見れば、いつもは涼しげな瞳が不安そうな色を宿して揺れていた。
「彼氏じゃないですよ、ただのちょっとした知り合いです」
「そっか……。じゃあ、これを渡しても怒られないかな」
先輩が渡してきたのは、綺麗にラッピングされた箱。
リボンには有名なケーキショップの名前がアルファベットで刻まれている。