3度目に、君を好きになったとき

「どうせ義理だろ、本気にするなよ」

「わかってます、私のこと好きな人なんて、いるわけないですもんね」


喧嘩になりそうな勢いを、穏やかな声が遮る。


「――ほんと、二人は仲が良いよね」


振り向けば、柏木先輩がまた筆を止め私たちを静観していた。


「こういうのは、仲が悪いというのでは……?」


私が首を傾けると、先輩は小さく微笑んだ。

どこか寂しそうなその笑顔に、ちくりと胸が痛む。


「千尋といるときの白坂さんって、自然体だなと思って。素でじゃれ合っている感じがして、楽しそう」


言われてみれば、柏木先輩といるときは緊張してしまうから、うまく自分を出せないけど。千尋先輩とは兄妹のような感覚で、普通に喧嘩までできてしまう。


「馬鹿言うな。こいつとは、じゃれ合ってるわけじゃないからな」


辛辣な千尋先輩の言葉に私は肩をすくめ、プレゼントを鞄にしまうために、そっとその場を離れた。
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